取引先の倒産に備えよう!取引信用保険の使い方
取引信用保険とは
一言で言うと、「取引先の倒産リスクに備える保険」です。
クライアントや取引先が以下のような倒産(法的・私的)に該当し、売掛債権が回収不能となった場合に保険金を受け取ることができます。
①法的整理
②銀行取引停止処分
③任意整理
④夜逃げ
この他に「支払い遅延」に対応する保険商品も会社によっては存在します。
経済状況が先行き不透明ですので、企業を経営する上で非常にありがたい保険です。
日本ではバブル崩壊後に連鎖倒産が社会問題となってから、この取引信用保険の導入が進んでいます。
取引信用保険の契約までの流れ
ステップ1:まずは見積もりを依頼する
見積もり依頼時に保険会社が取引先全ての信用状態について調査します。
保険会社から取引先に関するデータを求められます。会社名や所在地、取引実績や決済方式、決済サイト、支払い遅延歴の有無などが主な必要情報となります。
ステップ2:保険会社による与信審査と見積書作成
与信審査結果に基づいて、取引先毎に保険金の支払い限度額(=与信枠)を保険会社が設定します。
その支払い限度額に基づいて見積もり書が出来上がります。
ですから、保険金額の上限は保険会社が決定します。
信用状態がすでに悪化している取引先があれば、その取引先には支払い限度額の設定が出来ないということになります。
一例として、保険会社からの見積もりで取引先Aが与信枠1000万円に対して取引先Bは与信枠500万円、取引先Cは与信枠0円(設定できず)という見積もりが出来上がってきます。
これによって客観的に取引先の信用力を把握する事が可能です。
ステップ3:契約対象と契約方式の決定
原則的には全ての取引先を対象とした保険となりますので、信用状態が心配な取引先にだけ保険を設定する事はできません。
但し、一定の基準で保険の対象を限定する事もできます。例えば、売上高上位20社であったり、特定の事業部の取引先に限定することもできます。
このあたりは保険会社によって基準は異なりますので確認が必須です。
また、自社の関連企業や官公庁、すでに支払い遅延歴のある企業等との取引は保険の対象とする事はできません。
なお、小口の取引先が多数存在する場合には、取引先毎の支払い限度額設定を省略する「認定限度額方式」を採用し、全ての小口取引先に共通の支払い限度額で契約する事も出来ます。
この方式は小口の新規取引先が自動的に補償対象になるメリットがあります。
このように、対象取引先と契約方式を選択し契約へと至ります。
ステップ4:支払い保険金について
一般的に取引信用保険の保険金は以下の式に基づいて、計算されます。
保険金 = 正味貸し倒れ金額 × 損害補填率
取引信用保険は販売原価を補填するのが基本的な考え方です。販売利益まで補償するものではありません。
ですから、保険契約者の原価率に応じた損害補填率を設定する事が一般的です。
まとめ
取引信用保険に加入したときの3つのメリット
1.与信管理体制の強化
保険会社の与信限度額情報を活用して客観的情報を得る事が可能ですので、自社の与信管理体制を強化できます。
2.損失発生時の補償
取引先の倒産・債務不履行発生時に回収不能になった売掛債権を、保険金で補償してもらえます。
これによって契約者自身の倒産リスクも下がり、対外的な信用力をアップさせる効果も期待できます。
3.債権回収業務が不要
保険会社が保険契約者に保険金を支払い、保険会社が債務者に求償する仕組みですので、保険契約者は債権回収に走り回る必要がありません。
債権回収という後ろ向きの業務ではなく本業に集中する事ができます。
もっと詳しい情報や参照先
取引信用保険は経営リスクに関わる専門保険のため、詳しく対応できる保険代理店は実はあまり多くありません。
インターネットを調べてみても、自動車保険や生命保険などの個人向け保険に比べるとあまり詳しいHPは見当たらず、企業向け保険・リスクマネジメントに強みのある保険代理店の一部がHPで情報を出しているに留まっています。
(一例)
取引先倒産に備える!取引信用保険(倒産保険)の専門サイト
保険商品の具体的な説明や加入情報については、取引信用保険を扱っている保険代理店に質問されてみてください。
PC用
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