【役員賠償責任保険】役員賠償と新たな相続問題とは?
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最終更新日:2018/02/19
企業向け保険
先日、トヨタ自動車の女性役員が麻薬密輸容疑で逮捕されるニュースが報道されました。
数多くの株主が存在する大企業にとってこのような不祥事は信用をはじめ株価や経営に大きな影響を及ぼします。
このようなリスクに対し、AIG保険会社は1990年に日本で初めて会社役員賠償責任保険を開発しました。大企業は親会社と多くの子会社との間で連結しているため、いくら親会社がしっかりと統括管理されていたとしても子会社の不祥事が生じた時には、親会社も打撃を受ける事になります。
その責任を役員が取るのはごく当たり前の慣習になっているものの、あまりにも酷な気がしてなりません。一般的に考えるとすべてにおいて監督管理するのが役員の務めであるものの、実際には困難な場合が多いでしょう。
だからこそ、会社役員賠償責任保険が大企業で重宝されるのだと思います。補償内容も調査費用から弁護士報酬、再発防止策にかかる費用など幅広く対応している事も重宝される理由として挙げられるでしょう。
昨今では相続人である配偶者やその子どもにまで会社損害の賠償を求める場合があります。相続人からすると正に「寝耳に水」です。仮に経営に関わっていなかった場合は尚更です。
そのような場合も会社役員賠償責任保険は救済する役割を担っています。相続対策には生命保険を活用する場合が多いのですが、このように損害保険を活用した相続対策も今後必要となってくるに違いないでしょう。これは大企業だけに限らず中小企業の親子間における事業承継についても同様の事が言えます。
AIU、D&O保険の補償内容を拡充、不祥事発生時の社内調査費用などの特約
(以下は新日本保険新聞より一部抜粋)
AIUは、「マネジメント賠償責任拡張担保(2015)特約」を開発し、7月1日から販売を開始した。株主代表訴訟など経営者個人に対する損害賠償請求を補償する「マネジメントリスクプロテクション保険(D&O保険)」の特約として開発したもので、日本で初めて(同社調べ)、不祥事発生時の社内調査費用を補償し、役員の相続人に対して保険金額を追加で提供する。
近年、子会社において不祥事が発生したことによって、親会社の役員が子会社に対する監督責任を追及される株主代表訴訟が増加している。また、改正会社法で「企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制」(グループ内部統制システム)の構築義務に関する規定が施行規則から会社法に格上げされたことで、今後、親会社役員の子会社に対する監督責任は、より高い注意義務が求められる可能性がある。
そこで、自社または子会社において不祥事が発生した場合に、社内調査に要した弁護士に対する報酬、調査会社に支払った費用などを補償する特約を新たに開発。この補償と昨年新設した第三者委員会設置費用の補償により、事実調査、原因究明、再発防止策の検討など一連の対応に要する費用を切れ目なく補償することが可能となる。グループ企業において不祥事が発生した際に、ステークホルダーに対する説明責任を果たすための危機管理対応を支援する。
また、亡くなった役員の経営判断等により会社に損害が生じた場合、配偶者や子どもなどの相続人が、株主代表訴訟などで責任追及されることがある。相続人は、借入金の債務などと異なり、亡くなった役員の行為を原因とする将来の具体的な損害賠償責任の債務を、相続時点において認知することは困難であるが、相続した後に多額の損害賠償責任を問われ、全財産を失いかねないリスクがある。そこで、保険契約者の役員の相続人に対し、基本契約とは別に最高1億円の保険金額(保険金の支払い限度額)を追加で提供する補償を新設した。役員の相続人に対して手厚い補償を提供することで、相続人の救済を図る。
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