家計・生活の知恵袋
最新のお知らせ

スマートフォンでも閲覧できるようになりました!

【自動車事故が起きたら】保険会社の損害部はこうやって仕事をしている | 今日も明日も自動車事故

公開日: : 最終更新日:2017/03/11 自動車保険

前回は、「追突事故を起こしてしまったときの注意点」について書きました。
今回は、自動車事故で両方に責任がある場合についてです。

事故の連絡を受けたら、私が働いている自動車保険損害部では次のような流れで仕事をすることになります。

過去の裁判結果を調べる

事故のおおまかな内容がわかったら、まずは過去の事故の裁判所の判断をまとめた本でどんな判決だったのか調べます。事故の担当者であれば1冊ずつ持っているのです。

その本には
・事故が起きたのはどんな道路だったのか
・信号はあったのか
・信号の色はどの色だったのか
・標識はあったのか
・車はまっすぐ行こうとしていたのか
・右折や左折をしようとしていたのか
などなど。よく起こりやすい事故の形は大体載っています。

例えば、「十字路でどちらも直進同士、片方には一旦停止の標識があった」ときけば、責任割合は80:20(一旦停止のあるほう:ないほう)が基本です。
そこにスピードのだしすぎはなかったか、などの状況で少し変わってくることもあります。

載っていないような複雑な事故の場合は、会社にある更に細かく載っている資料を出して調べたり、上司に相談したりします。お客さんに「その交通事故では基本的にはどれくらいの責任が発生するのか」からお話ししないといけませんから、複雑な事故状況のときは調べるのはかな~り大変です。

契約者サイドと打ち合わせ

基本的な責任割合を心の中で決めたら、お客さんもしくは保険代理店さんにお話しします。納得いただければそのまま相手側と交渉しますし、納得されなければ基本割合から変更できるような要素がないか、もっと詳しくお話しを聞いてみます。

車の損傷も確認してプラスになる要素はないか検討します。何かプラス要素があればそのお話しをもとに相手側と交渉しますが、特に要素がなかった場合は困りますね・・。
とりあえず相手側に「この責任割合で出来ませんか?」と申し出ることはできますけど、説明できる要素がなければだいたい相手側も納得してくれないので(当たり前ですよね)、時間をおいてお客さんの気持ちが収まるのを待ったりすることもあります。こういうケースでは相手側の説得よりもお客さんの説得をするほうが気持ち的に辛いですね。

相手側との交渉

こちら側の意見がまとまれば相手側(通常は相手の保険会社)と事故の状況を確認し、責任割合のお話しをします。基本通りスムーズにいくときはすごくホッとします。

相手側と事故の状況が一致しないときは社外調査に

相手側の言っている事故の状況が、お客さんから聞いている状況と違っていることもあります。つまり、どっちかの説明が間違いであるということですね。

どうしても一致しないときは社外のリサーチ会社に調査を依頼します。直接お話しを聞いてもらったり、事故の現場を見て写真を撮ってきてもらったりします。そして調査会社の出した責任割合をもとにお話しを進めることもあります。
調べてもらう内容によってリサーチ会社に支払う金額も違ってくるので、事故現場だけの確認にすますか、当事者たちに話までも聞いてもらうのか、などは場合によって判断しています。

最後の事務処理をしたら無事に完了!

お互い責任割合に納得してもらえたら示談書の取り交わし、となりますが保険会社同士の場合はほとんど口頭の確認で省略することが多いです(ただ、どちらかが保険を使わないときは後々もめるといけないので、このときは書面でお互いの印鑑を押してもらうことが多いです)。
示談書を省略するときでも印鑑はないものの、似たような責任割合や損害額、支払い方法を書いたものをお客さんには送りします。省略すると早く支払いをすることができ、それだけ解決が早くなります。

損害部担当者がオススメしたい自動車保険の「弁護士特約」

最近の自動車保険は「弁護士特約」という弁護士さんに依頼した費用を保険会社がお支払いするものがついているものが多いので、話がまとまらない場合は弁護士さんに依頼することもあります。特約の保険料は安いので、相手方が問題のある方だった場合のことも考えると入っていると安心でしょう。

悲しいことに、「保険会社って自分の会社の支払い分を減らすために交渉するんでしょ!?プンプン!」というイメージを持ってらっしゃる方もいますが、そんなことはありませんよ!(笑)

上に書いたように各工程でやるべき仕事がたくさんあるので、「当事者たちにしっかり納得してもらえるよう話を正当にまとめたい」という気持ちで仕事をしています。

PC用

関連記事

自動車保険の分析・評価

自動車事故はどういうときに起きてしまうのかをデータから考える

安全運転を心掛けていても、思わぬ交通事故を起こしてしまうこともありますよね。 「自分は絶対に事故は

記事を読む

no image

チューリッヒ保険が自社サイトで「自動車保険の選び方」を公開

保険に加入する時は「どんな保険に入ればいいのかな?」と誰もが思いますよね。 対面型や電話申込でした

記事を読む

【自動車保険の満足度調査を見て】自動車保険加入を逆の発想で考えてみる

2015年日本自動車保険新規加入満足度調査、および2015年日本自動車保険契約者満足度調査の結果、代

記事を読む

保険担当者が教える自動車保険選びのポイント

毎年なんとなくやってる自動車保険の更新。 これで良いのかな? もっと安い保険会社もあ

記事を読む

no image

自動車保険の保険料、ドライバーの運転データも反映することに

よりリスク細分化された自動車保険が作られる 国内大手保険会社の損保ジャパン社が、ドライバーの走行の癖

記事を読む

Comment

  1. ななし より:

    調査してもなお事故状況に差があったり、契約者が非を認めない場合はどうするのでしょうか?
    刑事記録の取り付けをするのでしょうか?
    それでも解決しなければ弁護士に委任…?

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


PC用

妊婦さんが妊娠中に加入できる保険のまとめ

妊婦さん向け医療保険 各社の特徴 【相談】 妊娠中でも加入できる医

火災保険が10%値上げ!長期契約は最大で5年までに改悪。

損害保険料率算出機構は、火災保険料の算定基準である参考純率を平均で10

自転車保険
2021年は自転車保険の加入率が増加。自転車事故には保険で備えよう。

au損保が3年連続となる自転車保険の加入率を全国で調査しました。

no image
交通事故削減に自動車保険で貢献。各地の危険情報をドライブレコーダーが警告。

香川県などは、1月下旬から交通事故防止のため新たな取り組みを導入すると

○十万円節約できる!火災保険を安くする5つの見直しポイント!

火災保険は長ければ、数十年にわたって加入する可能性のある保険です。

→もっと見る

【確定拠出年金の攻略マニュアル】 始め方から利益を出す鉄則まで
【確定拠出年金の攻略マニュアル】 始め方から利益を出す鉄則まで

確定拠出年金(401k)の法律の改正が成立したことを受けて、確定拠出年金に大きな注目が集まっています。

お仕事ママ必読!産休・育休中にもらえる3つのお金とは

産休・育休制度が使えることは知っていても、長期に渡って休むとなると、気になるのはやはりお金のことではないでしょうか。

火災保険を安く出来る5つの見直しポイント!
○十万円節約!火災保険を安く出来る5つの見直しポイント!

火災保険は長ければ、数十年にわたって加入する可能性のある保険です。 見直しの結果が年間保険料にして数千円であったとしても、