海上保険 – 三菱重工業の貨物船沈没事故をめぐって
三菱重工業が建造した貨物船の沈没事故をめぐり、運航会社の商船三井や保険会社などが損害賠償を求めて三菱重工を東京地裁に相次いで提訴しました。東京海上日動火災や三井住友海上火災保険を含む約100社が提訴し、賠償請求額は合計約600億円に上るそうです。
「エムオーエル コンフォート号」が2013年6月に船体中央部で破断し、積んでいた4382個のコンテナと共に海に沈みました。ここで、航海上の事故によって生ずる船舶・積み荷などの損害を填補する海上保険が問題になってきます。勿論、沈没による損害の補填がされますが、今回は貨物船の設計ミスがあったと原告側が主張しているのです。
保険は重大な過失があると保険金が支払われません。原告側は、三菱重工が強度に余裕を持たせる設計をしなかったこと、また、2011年にコンフォート号と同様の構造を持つ貨物船で船体が変形する問題が発生したのに、危険性を報告しなかったと指摘しています。これに対し、三菱重工は、貨物船を商船三井に引き渡す際の強度検査で問題は見つからず過失はないと請求棄却を求めています。
損害金額が大きいので、保険支払の対象になるかどうかは、三菱重工側にとっても保険会社を含む原告側にとっても大きな影響を受けることになります。今後の展開が気になります。
元の記事(時事通信より)
三菱重工に600億円請求=商船三井など100社―貨物船沈没
三菱重工業が建造した貨物船の沈没事故をめぐり、運航会社の商船三井や保険会社などが損害賠償を求めて三菱重工を東京地裁に相次いで提訴したことが、5日分かった。
東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険を含む約100社が提訴し、賠償請求額は合計約600億円に上る。原告側は貨物船に設計ミスがあったと主張している。
三菱重工の造船事業では、建造中の大型客船2隻でも作業の遅れや不具合が発生し、計1000億円を超える損失を計上している。今回の訴訟は、同社にとって新たな財務上のリスクとなる可能性がある。
貨物船「エムオーエル コンフォート号」は2013年6月、インド洋を航行中に船体が中央部で破断。乗組員は全員脱出したが、船体は積んでいた4382個のコンテナとともに海に沈んだ。
商船三井など原告側は、三菱重工が強度に余裕を持たせる設計をしなかったことが沈没の原因だと主張。
また、11年にコンフォート号と同様の構造を持つ貨物船で船体が変形する問題が発生したのに、危険性を報告しなかった過失もあると指摘している。
これに対し、三菱重工は、貨物船を商船三井に引き渡す際の強度検査で問題は見つからず過失はない、として請求棄却を求めている。
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