これで分かる!高額療養費の計算方法
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最終更新日:2017/03/11
医療保険
自分の高額療養費を計算してみよう
前回では高額療養費制度の知っておくべき4つのポイントを説明しました。
仮に今、高額療養費制度の適用を受ける場合、金額はいくらになるのかどうしても気になりますよね?
いよいよ実際の計算方法をご紹介していきます。
■計算に必要なもの
「最近の給与明細書」 「健康保険証」 「電卓」
具体例として下記条件で計算していきます。
・年齢 満39歳
・神奈川県在住
・職業 会社員
・本社 広島県
・保険者 全国健康保険協会 広島支部
その1:健康保険証を見て、「保険者名称」を確認します
各都道府県によって保険料率は異なります。
例えば、住所は神奈川県ですが、保険者名称が「全国健康保険協会 広島支部」となっていた場合は広島県の保険料率が適用されます。
住所と同じ都道府県になるとは限りませんので、必ず確認するようにしましょう。
各都道府県の保険料率はこちらから確認してください。
全国健康保険協会 平成27年4月~保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h27/h27ryougakuhyou
その2:給与明細書を見て、給与から差し引かれている健康保険料の金額を確認します
明細書から、健康保険料15,045円が差し引かれている事が分かります。
その3:保険料額表から、自分の標準報酬月額を確認します
参考 「全国健康保険協会 保険料額表 広島」より一部抜粋
注意事項と保険料額表の見方
①都道府県は「保険者名称」と一致していますか?
②40歳になると介護保険の強制加入者になります。具体例では39歳ですので、「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」に当てはまります。
③給与から差し引かれる健康保険料は会社との折半になりますので、黄色で塗りつぶしてある「折半額」を下にたどっていきます。
④給与から差し引かれている金額は15,045円ですので、当てはまるまでたどります。
⑤当てはまったらそのまま左へずっとたどっていきます。この場合、この方の標準報酬月額は300,000円であることが分かります
その4:該当する標準報酬月額の計算式を確認します
70歳未満の所得区分(平成27年1月より)
標準報酬月額が30万円と分かりましたので、③に該当する事が分かりました。
今、この方が入院して仮に1ヶ月の医療費が100万円かかったとした場合、1ヶ月の自己負担限度額は
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
となります。
医療費100万円のうち3割が自己負担ですので、一旦30万円を支払っておりますが、実際は87,430円までで良い事になります。
つまり、
300,000円-87,430円=212,570円
が高額療養費として還付されるという事になるわけです。
お金が無くても心配無用!限度額適用認定証の魅力
高額療養費制度の唯一の短所は
高額な医療費をいったん自己負担する
ところにあります。
先程の例のように医療費が100万円かかった場合、30万円をいったん支払う必要があります。急にそのような大金を支払うなんてできない方も大勢います。
そこで、もし仮に入院するなどの理由で医療費が高額になりそうな場合は「限度額適用認定証」の交付を受けましょう。
限度額適用認定証は1ヶ月に支払う医療費を自己負担限度額までにするためのものです。
下図を参考してみて下さい。
■限度額適用認定証の交付ありの場合
※保険者とは具体例の場合は「全国健康保険協会広島支部」になります。国民健康保険の場合は市区町村、健康保険組合の場合はその組合が保険者になります。
■限度額適用認定証の交付なしの場合
既にお気付きの方も多いと思います。結果的に自己負担の金額は
限度額適用認定証の交付を受けた場合も受けない場合も同じ
なのです。
つまり限度額適用認定証の交付を受けるメリットは以下のようにまとめる事ができます。
・一時的に大きなお金を用意し支払う心配が無くなります
・高額療養費の還付申請手続きを行う手間が省けます
まとめと医療保険の考え方
高額療養費制度について理解していただくことができましたでしょうか。この考え方を活用すると医療保険も将来にわたって効率の良い商品に加入できます。
医療費の自己負担は必ず発生しますが、自己負担限度額を医療保険の保険金でカバーできれば、実質の自己負担は0円になります。つまり医療保険を選ぶときは「高額療養費の自己負担限度額」を考慮する必要性があるのです。将来の収入アップも踏まえると、より一層効率の良い医療保険に加入できるでしょう。
これから医療保険の加入・見直しを検討の方は是非、参考にしてみて下さい。
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