海外赴任・海外駐在員の保険の選び方。節約の方法はある?
グローバル化に伴ってお仕事で海外へ行く方が多くなっています。短期間の出張だけでなく、1年を超えて海外に赴任・駐在する方もいます。
海外旅行へ行く時には「海外旅行保険」へ加入するのが一般的ですが、長期間に渡り海外へ駐在するときは保険はどうすればよいのでしょう?
このページでは、海外に赴任・駐在する方の保険の選び方を解説します。
そもそも海外駐在員向けの保険はどんなもの?
海外旅行へ行くときは「海外旅行保険」へ加入していくのが一般的ですが、海外へ駐在される方には海外旅行保険を駐在員向けにアレンジした「海外駐在員保険」があります。
病気やケガの補償は通常の海外旅行保険とほぼ変わりませんが、海外駐在員保険には携行品だけではなく家財も補償される「生活用動産補償特約」や、同行した家族も被保険者に含まれる「家族総合賠償責任特約」があります。
一家で海外駐在される方には家族プラン契約もあり、生活用動産特約と家族総合賠償責任特約の補償を家族で共有できるため、保険料が割安になります。
ケース別に見る、海外駐在員保険の加入方法
駐在員の方の保険加入方法は、いくつかのケースに分かれます。ケースごとに加入方法を見ていきましょう。
ケース1:会社が保険を手配してくれる
大手企業等の海外駐在員を多く抱える企業では、会社が保険を手配してくれることが多いです。海外出張や海外駐在員が多い会社では、会社が保険会社と包括契約をしてることもあります。
このように会社から保険があらかじめ用意されている場合には保険の内容をしっかり確認しましょう。補償内容だけでなく、キャッシュレスサービスが使える医療機関の確認をしておくと安心ですね。
ケース2:自分で保険を探して加入する
駐在する社員自身で保険を探さなくてはいけないケースもあります。中小企業などに最近は多いですね。
ご自身で探すとなると、どこの保険会社が良いのか迷ってしまいますね。ここでは代表的な3社の駐在員保険についてご紹介します。
東京海上日動の海外駐在員保険
東京海上日動火災保険は、言わずと知れた大手損害保険会社です。
東京海上日動社の駐在員保険では、最高2年まで契約が可能です。フリープランでの契約ができるため補償内容を自由に設計でき、補償の無駄を無くすことができます。「現地で健康保険に加入するから医療保障は要らない」という方にはオススメですね。
注意点としては、東京海上の駐在員保険は原則として契約者を「企業・団体」としています。個人契約が全くできないわけではないですが、東京海上日動社の保険を希望する場合は一度会社の担当部署に相談すると良いですね。
インターネットからも保険期間6ヶ月までなら加入でき、6ヶ月以上になると保険代理店などの窓口経由での加入となります。
■ 東京海上日動火災保険のHP
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/travel/kaigai/
AIG保険会社の海外駐在員保険
AIG保険会社(旧AIU保険会社)を聞いたことがない方もいると思いますが、世界最大手の保険会社であるAIGグループの日本支社です。
AIGの最大の強みは、キャッシュレスメディカルサービスを受けられる医療機関の多さです。アメリカを中心に世界55万カ所以上の医療機関でキャッシュレスで治療を受けることができるのは、やはり世界最大手ならではです。
申し込みは、インターネットで駐在員保険の契約ができます(満69歳以下で持病がないことが前提です)。
保険期間は31日超〜1年まで選ぶことができ、1年以上を希望の場合は保険延長することによって保険契約を続けることができます。
家族契約の場合はインターネットでは受け付けておらず、保険代理店などの窓口で契約することになります。
また、単身で駐在する方は「出張プラン」で保険加入することもできます。出張プランでは、補償範囲が狭まる(生活用動産補償特約⇒携行品損害補償特約、家族総合賠償責任特約⇒個人賠償責任特約)ため、その分だけ保険料が安くなります。高価な家財などを持たない方は出張プランがおすすめです。
■ AIG保険会社のHP
https://www.aig.co.jp/sonpo
ジェイアイ傷害火災保険の海外駐在員保険
JTBグループのジェイアイ傷害火災保険は、インターネットでは1年まで(通算2年まで・個人契約のみ)、窓口申込では5年までの契約ができます。
長期間にわたり駐在する方にはオススメです。
また、こちらの保険も東京海上と同様にフリープランが可能ですので、無駄のない補償内容にすることが可能です。
インターネットで契約をする際に、保険期間が3ヶ月以上であれば分割払いも可能です(クレジットカード払い)。一度に大きな金額を負担したくない場合には便利なポイントです。
■ ジェイアイ傷害火災保険のHP
https://tabiho.jp/tb/
ケース3:現地で保険に加入する
現地で保険に加入することを考えてる方もいますよね。正直に申し上げて、現地の民間保険会社で加入手続きをするのは言葉や文化の違いでハードルが結構高いと思います。
民間の保険会社ではなく、渡航先の公的な保険(国民健康保険)に加入を検討している方もいるでしょう。
渡航する国によっては、外国人であってもその国の国民健康保険に加入することが可能です。例えばイギリスでは6ヶ月以上滞在する外国人は、国民健康保険に加入できます。
また台湾では4ヶ月以上滞在する外国人は必ず国民健康保険に加入する必要があります。
現地の国民健康保険に加入できるなら大丈夫と思うでしょうが、そうとは限りません。
たしかに国民健康保険に加入をすれば医療費に関しては安心ですが、その他のリスクに備えることはできません(損害賠償や携行品補償など)。
日本を発つ前に海外駐在員保険に加入をしておけば、医療費だけではなく損害賠償などの補償もついてあるので、海外生活でのあらゆるリスクがカバーできます。
また、海外駐在員保険は「家を出発してから帰宅してまで」補償されるので、現地に着く前に万が一のことがあっても補償されるのもちょっとしたメリットです。
現地の健康保険加入が義務付けられている場合には、そのような方向けに「治療費用の補償が無いプラン」(フリープランによる契約)を用意している保険会社もありますので、事前に確認しておきましょう。
ケース4:クレジットカード付帯の海外旅行保険を活用する
クレジットカードの中には、海外旅行保険が付帯されているカードもあります。別途保険料を支払う必要がないので、ちょっとした海外旅行はクレジットカードの海外旅行保険で十分と考える人も多いですね。
ただ、海外に長く駐在することを考えるとクレジットカード付帯保険では補償がまず足りません。
疾病死亡に対する補償がなかったり治療費用の補償額が少ないです。
そして何より、クレジットカード付帯保険では保険期間が最大でも3ヶ月までであることが大きなデメリットです。
駐在員として海外へ行く方は3ヶ月以上滞在する方が大半かと思ます。
いざ保険を使おうとしても「保険期間が終わってた!」なんてこともあるので、あまりクレジットカード付帯保険に期待しすぎるのは少々危険かと思います。
ケース5:保険に入らないで、渡航する
「自分で保険を探すの面倒くさい!」「今まで大きな病気になったことがないから大丈夫!」という方でも、無保険で渡航するのは絶対にやめておきましょう。
海外旅行に行くのと、現地で実際に生活を続けていくのとでは体への負担はまるで違います。
大丈夫と思っている人ほど病気になりやすいとはよく言ったもので、万が一の手当として保険は入っておきましょう。
まとめ 海外での治療費から見た保険の必要性
日本では国民健康保険のおかげで、民間の医療保険に加入しなくても医療費は3割の負担で済みます。高額療養費制度により1ヶ月の自己負担限度額も上限が決まっています。
しかし、海外では保険加入していないと医療費は全額自己負担です。自己負担限度額の上限なども当然ありません。
海外では病院はビジネスであり、特に日本人は高額な治療費を請求されやすい点にも留意する必要があります。
JTBの「2014年度海外旅行保険事故データ」によると、アメリカで肺塞栓症・肺炎・肺結核で49日間入院し、9,335万円の医療費を請求されたケースがあります。
1日あたりの換算にすると、1日入院で190万円かかることになります。保険に加入していなければ、とても払える金額ではありませんね。
たとえ健康に自信がある方でも海外生活でのストレスから体調を崩してしまうこともあります。
外務省でも海外渡航者には保険加入を勧めているくらいですから(「海外旅行保険加入のおすすめ – 外務省 海外安全ホームページ」)、ご自身や家族が安心して病院へ行けるように必ず海外駐在員保険は事前に用意・加入しておくようにしましょう。
PC用
関連記事
-
医療保険制度改革と医療保険の見直しポイント
2015年5月に「医療保険制度改革法案」が成立し、2016年4月より施行されています。 この記
-
生命保険における告知義務違反の意外?なルール
生命保険の申し込みをする時に告知書や意向確認書といった書類の記入を求められます。 告知書とは、過去
-
結婚資金や教育資金など、将来の子ども資金を簡単に貯める方法
子どもが誕生してから社会に出て自立するまでの「お金」を考えると1,000万円単位のお金が必要だと言わ
-
住宅をお持ちの方必見!地震保険の基本と、2つの加入方法
その名のとおり、地震保険は、地震によって住宅などの建物が損害を受けた場合に補償される保険です。
-
退職時に行う健康保険や雇用保険(失業保険)、税金の手続きのまとめ
3月や12月など節目の時期になりますと、急な生活環境の変化や理由で退職や転職をしなければならないこと