住宅をお持ちの方必見!地震保険の基本と、2つの加入方法
その名のとおり、地震保険は、地震によって住宅などの建物が損害を受けた場合に補償される保険です。
平成29年1月より損害区分が従来の「3区分」から「4区分」に変更され、補償度合いが今まで以上に細分化されました。
そこで本記事では、これから住宅購入を検討している方や地震保険の新規加入、および見直しを検討している方へ、変更内容の概要や地震保険の今後の考え方について専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)が解説します。
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地震保険の基本
本題に入る前に、地震保険について押さえておくべきポイントをご説明します。
ポイント1. 火災保険とセットで加入しなければならない
地震保険に加入している方はすでにご存じのとおりですが、原則として火災保険とセットで加入しなければならず、単体で加入することはできません。
例外として、「少額短期保険=ミニ保険」の中には、火災保険に加入しなくても地震保険のような補償を受けられるものもあります。
ただし、国から保険会社の正規の保険として許可を受けていないため、運営会社が破綻した場合、最低限の保証が受けられないなどのデメリットがあります。
ポイント2. 補償金額は、最大で火災保険の50%まで
地震保険の補償金額は、最大で火災保険の50%までと決まっています。
たとえば、火災保険の補償金額が1,000万円の場合、地震保険の補償金額は500万円(1,000万円×50%)までの範囲で設定することになります。
ポイント3. 補償の対象は「建物」と「家財」
地震保険の補償対象は、「建物」と「家財」の2つに大別され、それぞれで加入する必要があります。
特に茶碗やお皿などの食器類、冷蔵庫などの電化製品、家具類、パソコンやテレビといった「家財」につきましては、地震によって大きな損害を受けることが考えられるため、家財もしっかりと補償されるタイプに加入することをおすすめします。
地震保険の損害区分
平成29年1月より変更になった地震保険の損害区分と、支払われる保険金の割合は以下のとおりです。もともとは全損・半損・一部損の3区分でしたが、半損が「大半損」と「小半損」に分割され4区分となりました。
損害区分と支払われる保険金の割合
全損・・・・地震保険金額の「100%」
大半損・・・地震保険金額の「60%」
小半損・・・地震保険金額の「30%」
一部損・・・地震保険金額の「5%」
支払われる保険金額は、損害の程度に応じてこの4段階の損害区分から決定されます。「建物」および「家財」のいずれも支払われる保険金の割合は同じになります。
平成28年4月に発生した「熊本地震」におきまして、地震保険の損害認定に不満を訴える被災者が続出し、損害認定の疑義が生じた問題は記憶に新しいでしょう。
なお、損害を査定する人によって認定基準が左右される可能性もあります。
地震保険の保険金は、生命保険のように掛けた分が定額で支払われるのではなく、実際に損害を受けなければわからない、不確定要素が強い性質のものです。そのため、地震保険に加入していても十分な補償が受けられない場合があることも事実です。
さらに、地震保険の保険金では、住宅ローンを完済するには不十分であることが多いため、地震で住宅は倒壊したのに、住宅ローンは支払い続けなければならないといった二重問題が発生してしまう現状もあります。
今後の地震保険での備え方
地震保険の損害区分「半損」が「大半損」と「小半損」に細分化されたことによって、実際に受けられる保険金割合は以下のように変化しました。
従来 半 損・・・地震保険金額の「50%」
現行 大半損・・・地震保険金額の「60%」 小半損・・・地震保険金額の「30%」
仮に「大半損」と認定された場合、従来よりも補償される金額は多くなりますが、「小半損」だった場合は、従来よりも少なくなります。
先ほどご紹介したように地震保険の保険金は定額ではないため、できる限り地震に備えた十分な補償を確保しておく必要があると言えます。
具体的な対策として参考までに2つの方法をご紹介します。
方法1. 地震保険の上乗せ補償を検討する
地震保険の補償を上乗せすることで、十分ではない地震保険の補償に厚みを持たせることが可能になります。
たとえば、損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン)では、火災保険に「地震保険危険等上乗せ特約」を付加することで、支払保険料は増加するものの、地震保険の上乗せ補償を確保することができます。
同様に、東京海上日動火災保険にも「地震保険等上乗せ補償特約」があります。
各損害保険会社によってさまざまな特徴があるため、ぜひ比較検討して自分に合ったものを見つけてください。
方法2. 少額短期保険(ミニ保険)で上乗せ補償を確保する
現在加入している損害保険会社を変更したくない方は、少額短期保険(ミニ保険)で地震保険の上乗せ補償を確保する方法があります。
たとえば、SBIリスタ少額短期保険「リスタ」は、地震によって損害を受けた場合に、自治体が発行する「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」を基に保険金が支払われるタイプの少額短期保険です。
少額短期保険は、単独で加入することができることから、地震保険の上乗せ補償を取り扱っている保険会社にわざわざ切り替えることなく、補償に厚みを持たせることができます。
ただ少額短期保険は、支払保険料も比較的手ごろで利用しやすいメリットがある一方で、万が一運営会社が破綻した場合、国の保証が一切ないというデメリットがあります。
このようなリスクを理解した上で、少額短期保険を取り扱っている業者をじっくりと吟味して選びましょう。
おわりに
地震大国「日本」では、地震保険の需要は今後一層増加していくことが予測されます。地震は、いつ起こるかわからない不確定な自然現象であるため、危機意識もつい希薄になりがちですが、実際に大地震を経験した都道府県では、地震保険の必要性を十分理解されている方も多いと思います。
特に住宅ローンの二重問題や災害関連死といった問題からもわかるように、地震によって今後の人生が大きく激変するリスクは誰にでもあるのです。地震保険自体にもまだ課題はあると言えますが、事前の備えと対策が大切なことに変わりはありません。
住宅購入を検討されている方は、その多くのみなさまが住宅ローンを組んで住宅を購入する流れになると思われます。火災保険を選ぶ際、本記事の内容をちょっとした参考にしていただけましたら幸いです。
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