「保険辛口ランキング100」書評その1 ~がん保険と専門家選びの重要性~
これから書かせてもらう内容は「保険辛口ランキング100」という雑誌に掲載された、がん保険の入門ガイドによる書評になります。
同雑誌内の他テーマについての書評は以下になります。
・「保険辛口ランキング100」書評その2 ~保険で失敗しないための予備知識~
・「保険辛口ランキング100」書評その3 ~損をしない二者択一で、保険を極める~
全体的な感想
本雑誌は第一線で活躍する専門家(ファイナンシャルプランナー)が保険加入のいろはをはじめ、保険会社の社員や保険ショップの担当者の口からはまずもって聞く事ができない内容などについて、保険に悩む読者に分かりやすく紹介したものです。
いわゆるガイド本とも言われますが、同じ専門家として実に良くできた内容に仕上がっていると感じました。
専門的な考え方においては持論の異なる部分があったものの、保険設計分野においては社会保障制度や税法を意識した考え方が多々見受けられ、正に良い保険に加入するための教科書になる言っても過言ではありません。
ガンやガン保険を取り巻く環境について
現在、我が国では2人に1人ががんに罹患する時代に突入しました。
そして国立がん研究センターのデータによると、がんの死亡率は4人に1人となっております。この割合における感じ方は人それぞれ異なりますが、これに比例してがん保険の必要性も変化すると考えられます。
そもそもがん保険は医療保険と異なり、「がんしか保障されない」といったデメリットが存在します。保障範囲が医療保険に比べて狭いため、加入の優先順位はどうしても遅れをとってしまうがん保険ですが、がん治療における効果は実に高く、がんと診断され入院、手術を経て退院、通院までをすべて保障するといった優れものです。
また、がん保険のもう1つの特徴としては診断給付金が挙げられます。
診断給付金とは、医者からがんと診断された場合に受け取る事ができる保険金で100万円から300万円が主流となっている様です。使い道としては、治療の準備費用から海外旅行の旅費など多種多様ですが、このお金がはたして本当に必要かどうかには疑問が残りますが・・。
もちろんがん治療の前にまとまったお金が手元に届くことでお金の心配をしなくても良いという安心感は否めませんが、人生最期の海外旅行はいかがなものか、人それぞれ意見の分かれるところでしょう。
高額療養費の説明は誤解を招きやすい記述か・・
話は変わって、我が国は「国民皆保険制度」といって国民1人1人が何かしらの公的保険に加入しています。例えば、健康保険や国民健康保険いわゆる国保などがこれにあたります。そして、これらの公的保険には「高額療養費制度」が存在します。
高額療養費制度は病気などで高額な医療費がかかってしまった場合にその人の所得に応じた自己負担限度額のみ支払えば良いといった素晴らしい制度です。これについても雑誌上では、読者が気になるがんの治療費やがんになる確率などに表やグラフを取り入れ、全体的に分かりやすく説明されています。
一方で高額療養費制度を理解していない読者には大きな誤解を与えてしまいかねない表記であると感じる部分も見受けられました。例えば、「がんの治療費は1回の入院でおよそ15~30万円です」という回答。
確かに細かな部分までよく読むと一切誤った事は記載されていないものの、がんの治療にかかる金額は「高額療養費制度を適用する事によって2ヶ月で15万円から30万円」などと、より読者に自己負担金額が伝わりやすいものにするべきであったと感じます。読者は大きな文字には目がいきますが、細々とした小さな文字は興味がなければあまり読まないという心理について語弊を持たせる事なく伝える必要性があると考えます。
一昔前、がんは「不治の病」と言われておりました。しかしながら、現代においては治せる病、場合によっては完治する病となっております。これは医療技術の進歩の賜物であると言えます。
そして、そのおかげでがん治療は入院期間が短く、通院期間が長いといった治療方法にシフトしているといった特徴があります。
今後、この状況はますます進んでいく中で、この説明書きが不十分な事には正直残念でなりません。保険のガイド本だけにやむを得ないのも理解せざるを得ませんが、最も読者に知っておいてもらわなければならない事だと感じます。
総評として とても読みやすく読む価値が高い保険ガイド本
今回の書評は全体的に否定する部分が多かった様に思われがちですが、初心者のための基本的なガイド本としては、高評価を付けさせていただきたいと思っております。否定的な部分が多かったのは、あくまでも筆者も同じ専門家であり、考え方が異なっている部分もあったからだと理解していただければ幸いです。
平成27年11月現在、金融庁が生命保険販売の免許を交付している保険会社の数は38社あります。この中から専門家が選ぶがん保険にそれぞれ違いがあっても何ら不思議な事はないと理解いただけるのではないでしょうか。人の考えは十人十色です。
とは言え、冒頭あたりでも述べさせていただきました様に、保険設計分野においては社会保障制度や税法を意識した考え方が多々見受けられ、ファイナンシャルプランナーの深い知識と存在価値が再認識できます。保険が気になる読者の方には基本的な知識をこの本でしっかりと身に付け専門家であるファイナンシャルプランナーへ相談する事を是非、お勧めしたいと心から思っています。
同雑誌内の他テーマについての書評は以下になります。
・「保険辛口ランキング100」書評その2 ~保険で失敗しないための予備知識~
・「保険辛口ランキング100」書評その3 ~損をしない二者択一で、保険を極める~
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