【健康保険改革】年収1,000万円で負担4万円UPは意味があるのか?
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社会保障や公的保険
厚生労働省は、自営業者らが加入する国民健康保険の保険料上限を2016年度は89万円と、今年度より4万円引き上げる案を示しました。この案によって実際に4万円の引き上げ対象になるのは、年収がおおむね「1,000万円以上の世帯」でいわゆる高所得者の世帯になります。
現在、国民健康保険の上限は、ほぼ毎年4万円ほど引き上げられている模様ですが、いずれも引き上げの対象は年収が1,000万円以上の世帯です。そもそもの引き上げの目的は「財政をよくするため」なのですが、はたして年収1,000万円以上の世帯に4万円の負担増を強いたところで「財政がよくなるのか?」甚だ疑問です。
国民健康保険は市区町村が保険者となっている特徴があります。首都圏は人口が多く、一人あたりの所得も高いため今回の引き上げ案には効果があると言える部分もあります。一方で、地方に目を向けた時、1,000万円以上の世帯がはたしてどれくらい存在するのか、そしてどのくらい財政に影響を及ぼすのか効果は分かれます。
だからこそ、地方において一律の引き上げでは効果が期待できないと感じてしまうのです。中小企業で年収1,000万円も稼げているのであれば「法人成り」を検討したり、実際に法人格として存在していることも十分考えられます。このような事情を踏まえると、人口が少ない地方では年収1,000万円以上の世帯は数が限られてくると考えられます。
また、年収1,000万円に対して4万円が負担増なのかについても疑問が残ります。お役所の考え方と世間の一般常識にはまだまだ大きな乖離があると感じてしまいます。
(以下は日経新聞からの抜粋)
国保料上限4万円上げ 厚労省案 高所得者の負担増
厚生労働省は20日の社会保障審議会医療保険部会で、自営業者らが加入する国民健康保険の保険料の上限を2016年度は89万円と、今年度より4万円引き上げる案を示した。実際の保険料が上がるのは年収がおおむね1000万円以上の世帯だ。国保は財政をよくするために高所得者の負担を増やしており、ほぼ毎年4万円ほど上限を引き上げている。
保険料は医療と介護の費用を合わせた合計。国民健康保険は世帯年収に比例して納める保険料も増える仕組みだが、年収がおよそ1000万円を超えると保険料は85万円で頭打ちになっていた。
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