就業不能保険は必要か? -売りたいけど支払いたくない保険の典型-
突然ですが、もし「病気やけがで働けなくなった場合、その期間の収入を保障する保険があります」と言われた時、読者の皆様はどのように感じますか?
実際、このような保障内容の保険は生命保険会社及び損害保険会社で「就業不能保険」や「所得補償保険」という名称で販売されております。
しかしながら、保険金の支払いは「就業不能状態が180日継続後です」と後から知ったらどのように感じますか?
最初の印象としては「加入したい」や「ちょっと気になる」と感じた方も多いと思いますが、後の話を聞くと「期間が長すぎる」や「それだったら加入しなくともいいや・・」と感じた方もいたのではないでしょうか?
保険会社は支払条件をもっとハッキリと明示すべき
これはほんの一例ですが、就業不能保険や所得補償保険はその給付内容がかなり優れてはいるものの、実際に保険金を受け取るまでのハードルが高すぎるという一面もあり、結果として掛け捨てになってしまう場合が十分あり得る保険商品です。
実際のところ保険会社のホームページを覗いて見ると、案の定、最初の良い印象のみ持たせるアピールをして後のネガティブな印象は持たせないような表示になっており、いざというときになって「約款に書いてありましたよね?」と言わんばかりのひどい状態です。
就業不能保険や所得補償保険は健康保険から支給される傷病手当金と同様に見てしまいがちですが、性質は同じものの支払われる時期には雲泥の差があります。特に自営業者やフリーランスにはこのような性質の保険は重要な役割を担っていると感じます。
だからこそそれぞれの保険会社は「売りたい保険、払いたくない保険金」という体を払拭し、保険を必要とする立場の方を本当に保険で助けられるような商品を販売してもらいたいと心から願いたいものです。
(以下はライフネット生命によるプレスリリースです)
現役医師に就業不能の実態をアンケート調査 ライフネット生命
■ 医療現場における就業不能の実態
ライフネット生命保険株式会社は10月30日、医療現場における就業不能状態の実態について、アンケート調査を実施したと発表した。
これは、メドピア株式会社が運営している医師専用サイト「MedPeer」に登録している開業医及び勤務医の現役医師100名を対象にしたもので、2015年10月にウェブ上で実施された。(対象者:開業医13人、勤務医87人)
その結果、56%が就業不能状態の患者を「実際に診察したことがある」と回答した。また「勤務先の病院で見かけた・話に聞いたことがある」としたのは19%で、約8割の医師が就業不能状態の患者を目の当たりにしたことがあるという結果となった。
■ 就業不能で不足する「本人や家族の生活費」
就業不能状態になった患者を診察したことがある、または勤務先の病院で見かけた・話に聞いたことがある、と回答した医師に就業不能状態に陥った理由を聞いたところ、最も多かったのは「がんの治療」だった。続いて「脳血管障害」「事故によるケガ」という結果となった。
また、長期間の療養・闘病によって経済的に困窮していると感じる患者については、7割が「本人や家族の生活費」に困っているのではないかと考えていることがわかった。
高額療養費制度などでサポートされている「入院費」や「手術費」よりも、家族や本人の日々の生活費が原因で困窮するケースが多いと考えられる。
■ 就業不能保険の契約者トップは「医療業」
ライフネット生命では、病気やケガで働けなくなった場合の生活費に備える「働く人への保険」を販売しているが、契約者の職業を調べたところ、「医療業」がトップとなった。(2015年6月末時点)
医師や看護師などから「働く人への保険」が多くの支持を得ているのは、「病気やケガで長期間働けなくなるリスク」に接する機会が多いからだと考えられる。
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