確実にお金を遺す遺言方法「公正証書遺言」の活用例
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相続・継承
遺言をする方法には
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
といった3つの遺言方法があります。
その中でも、自筆証書遺言や公正証書遺言が一般に活用されている遺言方法です。
これら3つの遺言方法には、それぞれ長所、短所を合わせ持っておりますが、今回は、確実な遺言が可能となる公正証書遺言について解説していきます。
さらに、公正証書遺言のリアルな活用例も合わせてご紹介していきたいと思います。
(本記事は、平成28年2月現在の法令に基づいて作成しております。)
公正証書遺言とはどのような遺言方法?
公正証書遺言とは、公正証書によって行う遺言のことをいいますが、ここでは細かな言葉の説明よりも公正証書遺言の流れを4つにわけて解説します。
1 遺言者(遺言したいと考えている人)が遺言内容を口述
2 公証人(裁判官、検察官、弁護士といった司法に長く携わった人)は口述内容を筆記
3 所定の手続きを行う
4 公証人は公正証書遺言を作成
上記のような流れで作成された遺言書は、公証人役場で厳重に管理、保管されることになるため、遺言書を誤って破棄したり内容を改変されるといった心配もありません。
そして、遺言者が死亡したときは、あらかじめ選んだ遺言執行者によって遺言が執行されるといった流れになります。
次は、公正証書遺言の作成効果、注意点、リスクなどをもう少し詳しく解説していきます。
公正証書遺言の作成効果とは
公正証書を作成する効果は、前述したように遺言書を誤って破棄したり内容を改変されるといった心配がなくなるといったほかにも、3つの作成効果があります。
ここでは、これら3つの作成効果について解説します。
効果その1
公正証書遺言の作成は法律家が関与するため信憑性が極めて高い
公正証書遺言は、公証人(裁判官、検察官、弁護士といった司法に長く携わった人)が遺言書を作成することになるため、遺言書の形式が不備であることによる無効や遺言書の内容がよくわからないといったリスクを避けることができます。
効果その2
公正証書遺言は検認手続きが不要
遺言書が見つかった場合には、原則として家庭裁判所へ遺言書を持っていき「検認」といった手続きを行う必要があります。要は、遺言書の内容が「有効」か「無効」かを判断してもらうといったイメージです。
公正証書遺言の場合、この検認手続きが必要ありませんので遺言者が死亡した後、すぐに遺言内容を実現することができます。
効果その3
そもそも争いを避けることに役立つ
遺言には争いがつきものです。
「争族」といった造語があるほどですし、インターネット掲示板を見ても悩みを抱えている人が多いように感じます。
まったく争いが生じないわけではありませんが、公証人が作成した公正証書遺言は、作成の仕方や内容の点で紛争になるケースが少ないといった特徴があります。
公正証書遺言作成の注意点とリスクとは
逆に、公正証書遺言を作成する上での注意点やリスクにつきましてもいくつかあります。ここでは、これらの内容を大きく4つにわけて解説していきます。
デメリットその1
公正証書遺言は、作成に費用がかかる
公正証書遺言を作成するためには、法律家などの専門家が作成するため費用がかかってしまいます。
実際、公正証書遺言の作成手数料は「公証人手数料令」というものであらかじめ金額が決定しており、遺言する金額によって「遺言加算」といったお金の上乗せが必要となる場合もあります。
公証人手数料令による作成費用や遺言加算金額は以下から確認することができます。
http://www.onoe-cho-yakuba-kannai.jp/feelist.PDF
デメリットその2
公正証書遺言の作成に手間がかかる
公正証書遺言は、厳格な分、作成には手間がかかるという短所があります。
以下は、公正証書遺言の一連の流れを紹介したものになります。
1 証人2人以上が立ち会う
2 遺言者が公証人に遺言したい内容を話します
3 公証人は、その内容を筆記します
4 筆記したものを証人に読み聞かせたり、見せたりして間違いないか確認します
5 証人2人は署名・押印します
6 最後に公証人が、要件に従って作成したものである旨を付記し署名・押印します
さらに、遺言書の作成前に公証人役場での打ち合わせや遺言書の事前確認や修正などもあり、多くの時間や手間がかかります。
デメリットその3
証人の欠格事由に注意が必要になる
公正証書遺言では、追々相続する可能性の高い推定相続人や四親等内の親族といった立場の人を証人として認めていません(証人欠格事由といいます)。
これは、利害関係が生じたり、生じる恐れがあるためです。公正証書遺言における証人欠格事由は以下のとおりです。
・ 未成年者
・ 遺言の内容に直接利害関係を有する推定相続人・受遺者・配偶者・直系血族
・ 公証人の配偶者
・ 四親等内の親族
・ 書記や使用人
上記に該当する人は、証人になることができません。
デメリットその4 公正証書遺言の内容や存在を秘密にできない
公正証書遺言を作成するにあたり、証人2人と公証人に遺言内容が知られることになります。
公証人は守秘義務を負っているものの、選定した2人の証人から遺言書の作成があったことやその内容の漏洩リスクが生じる可能性があります。
公正証書遺言のリアルな活用例
日本では現在、3組に1組が離婚している実態があります。
仮に前妻との間に子がおり、再婚相手との間に子がいる場合には、原則としてどちらの子にも相続する権利が与えられます。
このような状況で相続が始まると遺産相続協議をするのは一般的に困難になります。
このようなときに公正証書遺言を作成していることで、円滑に、かつ、トラブルも少なく遺産相続が行われることになります。
熟年離婚や若年者離婚など、子がいる状態で離婚するケースが多いですが、さらに再婚して子が誕生した場合には、公正証書遺言の作成を必ず検討しておくべきでしょう。
それぞれの子どもたちには、まったくと言ってよいほど関係がありません。
最低限の迷惑をかけない方法として、このような境遇に立っている人や立ちそうな人は公正証書遺言の作成を強くおすすめします。
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