受け取った生命保険金は相続税?贈与税?所得税?
多くの皆さんが終身保険や医療保険など、民間の生命保険会社が取り扱っている生命保険を契約して加入していると思います。
これらの生命保険金は、当初の契約内容によって将来受け取る生命保険金にかかる税金が異なります。
今回は、受け取った生命保険金と税金における3つのルールをご紹介していきます(平成28年1月現在の各種法令を根拠として記事を作成しております)。
原則として、当初の保険契約で将来の税金が決まっている
生命保険に加入する時には、
・保険契約者(保険料を支払う人)
・被保険者(保険の対象となる人)
・保険金受取人
を誰にするのかを決める必要があります。
そしてこれらの関係によって、将来に保険金を受け取った人にかかる税金は決まっているのです。
【受け取った生命保険金と税金における3つの関係図】
保険契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金名称 |
---|---|---|---|
本人 | 本人 | 誰でも | 相続税 |
本人 | 誰でも | 本人 | 所得税 |
本人 | 誰でも | 誰でも | 贈与税 |
受け取った保険金が相続税の対象となる場合
最もわかりやすい例としては、自分が死亡した時に家族に対して死亡保険金が支払われるといったものです。
保険契約者と被保険者が自分自身で、保険金受取人が配偶者や子どもであった場合の生命保険金は「相続税」の対象になります。
家族構成や保険契約によって違いはあるものの、死亡保険金が1,000万円や2,000万円といった高額であったとしても、相続税の計算の仕組み上は極端に死亡保険金が高額ではない限り、ほとんどの場合で相続税を納めなくともよい結果となります。
【具体例】
夫、妻、子ども3人の5人家族で、夫が死亡し妻が死亡保険金2,000万円を保険会社からまとめて受け取った場合に相続税はいくらかかるのか?
【相続税の計算】
相続税の非課税枠 500万円×4人(法定相続人の数)=2,000万円
相続税の課税対象 2,000万円(受取保険金)-2,000万円(非課税)=0円
よって、受け取った2,000万円に税金は一切かかりません。
受け取った保険金が所得税の対象となる場合
受け取った保険金が所得税の対象となる例としては、養老保険の満期保険金がわかりやすいでしょう。
養老保険とは、保険の契約期間において生存していた場合は「満期保険金」、死亡した場合は「死亡保険金」が支払われるという仕組みの保険です。月々の支払保険料は高額ですが、必ず保険金が受け取れるといったメリットがあります。
たとえば、この養老保険に加入して満期保険金を受け取った場合、原則として「一時所得」として所得税の対象となります。所得税については一時所得の計算式があり、計算した結果が「マイナス」の場合や「0円」の場合には、所得税を納める必要はありません。
【具体例】
10年満期の養老保険に月々1万円支払っていたが、このたび満期をむかえ満期保険金として150万円を受け取った場合に所得税はかかるのか?
【所得税の計算】
10年間で支払った保険料総額 1万円×12ヶ月×10年間=120万円
満期保険金 150万円
一時所得 【(150万円-120万円)-50万円】×2分の1=-10万円≒0円
計算結果がマイナスとなりますので、こちらも所得税を納める必要はありません。
余談ですが、ここではわかりやすくするために養老保険の満期保険金を支払保険料総額よりも多く設定しましたが、実際、養老保険において差益が生じることは「まずもってない=税金を納める必要がない」と考えても差し支えないでしょう。
受け取った保険金が贈与税の対象となる場合
最後に、受け取った保険金が贈与税の対象となる例をご紹介します。
受け取った保険金が贈与税の対象となる場合で最もわかりやすいイメージは「保険契約者、被保険者、保険金受取人がすべて異なる人」の場合になります。
この保険契約は、将来の税負担が前述した2つの税金に比べて大きくなる可能性が高い方法になります。
【具体例】
専業主婦である妻の定期保険1,000万円の月々の生命保険料は夫が支払っており、保険金受取人を子としている場合において、妻が死亡した際に子(成年)が受け取る1,000万円の保険金に贈与税はかかるのか?
妻が死亡した場合の1,000万円の保険金は、夫から子に対する1,000万円の贈与とされます。
したがってこの場合、1,000万円を受け取った子(受贈者と言います)が贈与税を納める義務が生じます。ちなみに納めるべき贈与税額は177万円になります。
生命保険金と税金の関係は複雑。迷った時は相談がベスト!
受け取った生命保険金と税金における3つのルールをご紹介しました。
保険契約者、被保険者、保険金受取人の3者の組み合わせによって将来、対象となる税金が異なることをご理解できたと思います。
保険金額や家族構成などの状況によって、一筋縄ではいかないことが多い問題ですので、FPなどの専門家へ確認、相談してみるのも一策でしょう。
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