自転車事故で他人を怪我させて高額賠償。FPが考える対策とは?
お金と暮らしの身近な生活問題と解決方法 第1回
子育て世帯の親御さんにとって多くの悩みはつきものです。子どもに対するお金や将来など考えていることがたくさんあると思いますが、それを考えるだけで気が遠くなってしまうと考えます。
実際のところ、先々の子どものことを考えた貯蓄や投資は多くの親御さんが行っている一方で、現状の危険を回避する対策が薄れている世帯が全体的に多いように感じます。
具体的には、
・学校でのトラブル
・遊んでいる最中のけが
・他人の物を損傷させた
などがこれにあたります。
場合によっては「人の命が奪われた」なんてことも、現実の事故として裁判問題に発展したことがあるくらいなのです。
今回はこのような現状と裁判を踏まえながら、実際の事例を下に法律上における弁護士の見解と、それについての解決方法をFP(筆者)がわかりやすくご紹介していきたいと思います。
第2回目は「学校でのさまざまなトラブル」です。
親御さんからの相談内容
小学校5年生になる子どもが、同級生とけんかをして骨折する大けがをしてしまいました。この場合、治療費といった損害賠償は誰に対して請求することができますか?
弁護士の見解
お子さんがけんかをした原因やけんかの態様がわかりませんが、結果として骨折という大けがをさせたのですから、相手の同級生の親に対して賠償請求ができると考えられます。また、仮に先生や学校がけんかを放置していたとされる場合には、学校の設置者に対しても賠償請求が可能でしょう。
FP(筆者)の見解
子どものけんかとはいえ、骨折という大けがの場合、監督責任の立場のある親としては、理由がどうであれ相手の両親への謝罪と賠償を行うことが、子どもの教育や親子を含めたお互いの関係修復になると考えます。
具体的な賠償金額がいくらといったところは、状況によって異なると考えられますが、子ども同士のけんかであり、難しい言い方で「過失相殺」がなされることになります。
要は、けんかは双方に責任があるため、お互い相手方に対して責任を求めることはできないといった考え方です。常識的に考えますと、大けがをさせてしまった方が、誠意を表すことで丸く収まるのではないでしょうか?
相談2つ目
子どもが蹴ったボールを避けようとした二輪車が転倒して死亡したケース
私の父(満65歳)は、原動機付自転車を運転中、小学生の蹴ったボールが校庭の塀を越えてきたために、それを避けようとして転倒し、頭蓋骨骨折で死亡しました。この場合、誰に対して損害賠償請求ができるのでしょうか?
弁護士の見解
ボールを蹴った小学生の両親が、監督義務者としての義務を怠っていたといえる場合には、両親に対して損害賠償請求をすることができます。また、体育の授業中である場合やそもそも校庭の形状などによっては、公立小学校の設置者である公共団体に対しても賠償請求ができる場合があると解されます。
FP(筆者)の見解と2つの事例を踏まえた考察
実際に起きた2つの事例をご紹介しました。
特に2つ目の事例は、本当?と疑いたくなる内容だと思いますが、このような偶発的な事故が結果として大きな災難を招いているのは紛れもない事実なのです。
昨今、自転車保険のニーズが高まっておりますが、これは元々小学生の運転する自転車が中年女性を引いてしまったことによって頭部を強打し、寝たきりになるといった大きな障害を負わせてしまった事故が発生したからです。そして、この小学生の両親には、損害賠償金として「約9,500万円」という高額な賠償金を支払う旨の判決が下されました。
子どもが遊びに行くのに都度、親がついていく訳にはいきません。しかしながら、子どもが起こした不法行為は原則として親の責任になります。このように考えた時、前述したような思いもよらない事故を起こしてしまったら皆さまはどのように感じますか?
年間数千円の保険料で守れるものが守られるのならば、安い保険料であると筆者は考えます。
小学生以下の子を持つ親御さんには、賠償責任保険や自転車保険への加入を保険専門家として強くおすすめしたいと思っております。
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