住宅ローン融資担当者が教える『自営業の融資基準のポイント』
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住宅・住宅ローン
将来、あこがれのマイホームを建てたい方、多いのではないしょうか。モデルルームを見学したり、理想や夢を思い描いたり。
新しい家での生活を思い浮かべるだけで心がウキウキしてきますね。
とはいえ、住宅購入をするためにほとんどの人は「住宅ローン」の審査に通らなければ、住宅を購入することはできません。
雑誌やインターネットで様々な情報を得られますが、月々安定した収入がある会社員に比べ、自営業の方は肝心の融資基準がよくわからない事も多く見受けられます。
そこで今回は、実際の金融機関の住宅ローン融資担当者(副支店長)に、自営業の方が融資を受ける際の注意点を聞きましたのでポイントを見ていきましょう。
ポイント1.
会社員と自営業の収入基準は違う
はじめに知っておきたいポイントは「会社員と自営業の収入基準は違う」ことです。
住宅ローン融資の基準とされる目安
・ 会社員は「 収入金額」が一定金額以上あること
・ 自営業は「 所得金額」が一定金額以上あること
つまり、職業によって住宅ローンの審査基準が異なっている点が大きなポイントです。
上記の『一定金額』は金融機関によって異なり、例えば「会社員であれば年収300万円以上」や「自営業者であれば所得金額100万円以上」など、金融機関ごとに融資基準があります。
この基準は、金融機関のホームページなどでは公開されていませんので、直接確認してみましょう。
ポイント2.
「主たる債務者」が妻で産休・育休をとる予定がある場合に注意
住宅ローンを夫婦で組む「夫婦合算」での借入を検討中の方も多くいらっしゃると思いますが、このとき大きく関係するのが「主たる債務者」「従たる債務者」の関係です。
一般的には夫の方が妻よりも収入が多いイメージが定着していますが、昨今では、逆ということもことも珍しくありません。
特に気をつけたいのは「主たる債務者が妻で産休・育休をしているケース」です。
金融機関は住宅ローンの返済がされなかったり、滞ったりすることは避けなければなりません。「主たる債務者」が妻で産休・育休中に住宅ローンの融資をし、職場復帰しなかったといった貸し倒れリスクを避けようとするのは当然です。
産休・育休中は住宅ローンの申し込みができない可能性がありますので注意が必要です。
ポイント3.
確定申告書の作り方が住宅ローン審査に大きな影響を及ぼす
自営業者であれば確定申告書を税務署へ提出しますが、普段の会計帳簿の作成が非常に大切です。
多くの自営業の方は、税負担を避け経費に計上できるものは加えたいと考える傾向があります。
しかし、住宅ローン融資側が重要視するのは「所得金額」です。
前項でも解説しましたように「貸したお金が確実に返済されること」「貸し倒れのリスクをとにかく避けたい」点が、どの金融機関においても共通する融資条件です。
住宅ローンを通してもらうための確定申告書は、経費の計上で所得を減らすより、経費を抑えて、より所得(儲け)が多くあるように見てもらわなければならないことになります。
自営業で確定申告書を提出している人はご存知だと思いますが「減価償却費」や「青色申告特別控除・白色申告特別控除」といったものは、住宅ローンの融資基準において所得金額から除外して考えることになります。
具体例を以下に示していきます。
(例)A銀行の住宅ローン融資基準「自営業者であれば所得金額100万円以上」で、減価償却費が年間30万円の個人事業主
融資基準OKとみなされる場合
100万円≦(減価償却費30万円+青色申告特別控除65万円+控除後所得10万円)
上記計算例の場合、個人事業主の年間所得(儲け)が75万円(控除前所得)であることがわかります。
A銀行の住宅ローン融資基準に通るためには少なくとも70万円(控除前所得)がなければならないことになります。
融資基準NGとみなされる場合
100万円≧(減価償却費30万円+青色申告特別控除65万円+控除後所得3万円)
2つ目の計算例では、個人事業主の年間所得(儲け)が68万円(控除前所得)であることがわかります。
A銀行の住宅ローン融資基準(所得金額100万円)に対して2万円(減価償却費30万円+青色申告特別控除65万円+控除後所得3万円)の所得が不足していることがわかります。
まとめ
今回は、自営業の方が住宅ローン融資を受ける際に気を付けたいポイントをご紹介しました。どれも住宅ローンの融資には欠かすことのできない重要事項ですから、ぜひ覚えておいてください。
・ 会社員と自営業の収入基準は違う
・「主たる債務者」が妻で産休・育休をとる予定がある場合の注意点
・ 自営業の「住宅ローンの融資のための確定申告書」の作り方に注意
実際にご自身が融資を受けられるのか気になる、誰かに相談してみたいとお考え中の方は、住宅ローンと税金どちらの知識も持っているFPに相談してみるのも1つの方法です。
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