実例からFPがアドバイス!定年前に住宅ローンを完済するために必要なこと
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最終更新日:2017/03/11
住宅・住宅ローン
平成28年2月よりマイナス金利政策が始まったことによって、金融機関が融資している住宅ローンの金利が引き下がる傾向が続いております。金利が高い、低いは住宅ローンを返済する人にとってみると欠かすことのできない重要なポイントではあるものの、毎月いくら返済して、いつまでに返済を終えるのかといった「資金計画」は案外、軽視している人が多いと感じます。
今回は住宅ローンの借り換えができなかった50代夫婦の実例を紹介し、なぜ住宅ローンの借り換えができなかったのか、何がいけなかったのか、何をしておけばよかったのかといった点を中心に解説していきたいと思います。世代を問わず、住宅ローンを抱えている人は必見です。
住宅ローンがいつ完済するのかを最低限把握しておく
住宅ローンに限らずお金を借りることは基本的に簡単です。とはいえ、実際お金に余裕がなくなってきたり、状況が以前に比べて一変したときになぜか今の借金をどのように返済していったらよいか真剣に考える人は少ないような気がしてなりません。
このような場合に返済内容を変更する「条件変更」を行う人もおりますが、結果として住宅ローンがいつ完済になるのかを最低限把握しておくことが大切です。年金生活前に完済できるのか、年金生活後も住宅ローンの返済が続くのか、退職金で完済することができるのか、退職金で完済できないのかのほか「何歳で完済」まで把握しておくことが望ましいです。
安易な「条件変更」は絶対NG
住宅ローンの借り換えができなかった50代夫婦の世帯年収は750万円と比較的高かったものの「どの金融機関からも住宅ローンの借り換えが断られる」という結末でした。その理由の1つは前述した「条件変更」です。
たとえば、突然のリストラなどで収入が激減し住宅ローンの返済が滞ったりする場合も時にはあると思います。このような状況で「条件変更」を金融機関に申し込むことで、融資している金融機関は快く承諾してくれる一方で、条件変更を行うことは他の金融機関にとってみると「滞りなく返済してくれないのでは」といった信用面で大きなマイナス評価を付けることをご存知でしたか。
これは、融資している銀行にとってみると条件変更を承諾することで返済期間が長くなりますので、その分、利息収入が多くなるメリットがあります。
しかしながら、条件変更をするということは、一般的に資金繰りが苦しいためと考えられることから、他の銀行にとってみますと借り換えを承諾したとしても、将来、貸し倒れになる懸念が生じます。結果、どの金融機関からも住宅ローンの借り換えが断られるといったことに繋がるわけです。
住宅ローンの条件変更や借り換え前には、FPからのアドバイスと返済計画を作成してもらってから申し込みを行うことが、将来の自分たちを守ることになるのです。
安易な「借入」は絶対NG
住宅ローンの借り換えができなかった2つ目の理由は「借入金の本数」です。実例の夫婦は、住宅ローンのほか自動車ローン、ショッピングにおけるローン、キャッシングにおけるローンなど合計6本の借入がありました。
月々の返済でお金がまったく手元に残らないことから、ストレス発散に衝動買いをしたり普段の生活における浪費など、お金がなくとも借入に依存して毎日を過ごす生活が明らかになりました。これは、いわゆる「ころがし」といって借金の返済のために他から借金をして返済することをいい、一般的に借金が順調に減ることはまずありません。
お金が苦しいと感じたら安易に借入をする前に、解決策がないかFPからのアドバイスや家計の資金状況について精査してもらってからでも遅くはないと考えます。
収入と支出のバランスは保てているか確認する
そもそも収入が支出よりも少ない場合は、住宅ローンの借り換え以前に解決しなければならない問題です。仮に住宅ローンの借り換えができたとしても毎月の収入よりも支出が上回っているということは、いつか前述したような借入に依存しなければならない状況に陥ることが予測できます。
実例の夫婦もこのパターンにあてはまっており、長収入よりも支出が多く、長期間借入に依存していたものの、ついにお金が借りれなくなり借入先や銀行からも相手にされなくなってしまいました。さらに退職金を全額住宅ローンに充てたとしても完済できずに多くの住宅ローンが残るといった悲しい事実まで試算結果で判明しました。
まとめ
定年前までに住宅ローンを完済するために必要なことは、実例のような夫婦にならないことであることは言うまでもなく明らかです。
・ 住宅ローンがいつ完済するのかを最低限把握しておく
・ 安易な「条件変更」は絶対NG
・ 安易な「借入」は絶対NG
・ 収入と支出のバランスは保てているか確認する
上記4つを守ることは、決して難しいことではありません。住宅ローンに苦しくなったら銀行に相談する前に、お金の専門家であるFPへ相談するべきだと強くみなさんに伝えたいと思います。
この夫婦は、お金が苦しくなる度に、銀行や消費者金融、そして親族からの度重なる資金援助を受けてきたのにも関わらず、根本的な原因究明と解決策を模索しようとしませんでした。
仮に毎日煙草を吸い、大酒を飲み、不規則な生活を送り、体に悪い食事を取り続けた結果、末期がんになってしまったとしても、その原因を作った自身に問題があることはいうまでもありません。これを医者に治してと懇願するのはそもそも間違っていると私は思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
FPといったお金の専門家でも、ここまで末期症状だと弁護士や司法書士を紹介して債務整理や破産といった手続きの開始をおすすめしています。人の体も人生も同じようなものだとこの時ばかりはひしひしと感じます。
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