生命保険における告知義務違反の意外?なルール
生命保険の申し込みをする時に告知書や意向確認書といった書類の記入を求められます。
告知書とは、過去や現在の病歴や体調を正しく申告するものであり、この告知の内容によっては生命保険の加入の可否を判断するための重要な書類です。告知書は原則として保険契約者や被保険者が署名・押印するものですが、時と場合によってはそのようにいかないこともあります。
例えば、親が子どもを対象とした保険契約をする場合や妻が夫を対象とした保険に対して代理として署名・押印する場合などです。もし、このような場合、仮に代理の者が告知義務違反をしたらどのような取り扱いになると思いますか?今回はこの件について解説していきたいと思います。
そもそも告知義務違反って何?
冒頭で告知書には、過去や現在の病歴や体調を正しく申告するものである旨を説明しましたが、この告知において虚偽の申告をすることを「告知義務違反」と言います。
告知義務違反を行った場合、保険金の支払いが受けられなくなるだけに止まらず、今まで支払ってきた保険料も返還されることはありません。場合によっては詐欺罪などといった告訴も十分あり得るため、告知義務違反は絶対に行わないようにしましょう。
代理人による告知義務違反の取り扱い
ここでは実際、裁判になった事例から代理人による告知義務違反の取り扱いを紹介していきます。
“妻が夫の代理人として保険契約を締結した際に、夫が1年数ヶ月前に肝がんに罹患していることが判明し、入退院を繰り返したこと、代理人の妻は当該病名の告知を受けていたのにもかかわらず、生命保険の募集人に対してそのような事実を告げなかったことを理由に「告知義務違反」による契約解除が認められた”
出典 大阪地判平成7年4月7日生判8巻107頁(28221722)より
まとめ
代理人が告知義務違反をした場合には保険契約が解除になることがわかりました。
代理人が本人の意思と反して、つい虚偽の告知をしてしまった場合に取り返しのつかないことになってしまう点には注意が必要と言えます。やはり、告知はできる限り自分で行うことが重要だと言えるのではないでしょうか。
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