定年から年金支給開始までの空白の5年間をどう暮らす?5つの資金対策を紹介。
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社会保障や公的保険
これから先、年金を受け取る世代にとって、老後の生活資金である年金への心配や不安は大きいものです。
少し前までは年金の受給開始年齢といえば60歳でしたが、現在では原則65歳からになっています。
そのため、定年退職が60歳のままの企業に勤めている場合、年金の支給開始まで5年程度の空白期間ができることになります。定年退職後に再び同じ会社で働く再雇用も決して珍しくなくなりました。
そこで本記事では、定年退職後、年金受給開始までの老後生活対策についてご紹介します。
5年の空白期間に、5つの対策
定年が60歳の場合に起こる、公的年金の支給開始年齢65歳までの5年の空白期間。
この間、退職金や預貯金などで生活資金をつなぐことは、その後の年金生活に大きな不安を与えるきっかけになります。現在の年齢や状況によってさまざまですが、代表的な5つの対応策をリストアップしました。
1.再雇用制度の利用
60歳で定年退職を迎えた方が、勤めていた会社などで再び顧問や嘱託として働く再雇用制度。これは、5年の空白期間を埋め合わせるために多く利用されている方法の1つです。
一般的には、今までの給料が大幅に減額されることになりますが、条件を満たせば「高年齢雇用継続給付金」というお金が上乗せで支給されます。これにより、多少なりとも減額された給料を埋め合わせる効果が期待できます。
なお、この制度は加入している雇用保険より、60歳から65歳までの最長で5年間支給されるお金になります。
2.新たな企業への再就職
再雇用制度を活用し、定年退職後も同じ会社で引き続き働くことは、環境も変わらずやりやすい面がある一方で、以前まで部下だった社員の下で働くことも十分ありえます。
ある程度の役職についていた方だと抵抗を感じて、再雇用ではない働き方を希望されるかもしれません。このような方は、新たな企業への再就職という方法もあります。
働き方も契約社員からアルバイトまで、さまざまな選択肢があります。専門職や専門的な資格を有していれば、より有利に進めていくことができるでしょう。
3.在職老齢年金制度の利用
在職老齢年金制度とは、60歳以降の方が働きながら支給される厚生年金のことをいいます。
給料や賞与が高くなればなるほど在職老齢年金はカットされ、受け取れるお金は少なくなります。しかしながら、前述した再雇用制度で大幅に給料が減額されている状況では、少しでも減額された給料を埋め合わせ効果が期待できる制度になります。
なお、在職老齢年金制度は、年齢や性別によって支給の有無があるほか、制度そのものを利用できる場合、できない場合があります。ご自身がどのような取り扱いとなるのか確認しておくことが大切です。
4.確定拠出年金への加入
前述した在職老齢年金制度は、30代も含めた30代より下の世代(平成28年8月現在)が60歳で定年退職した後には、利用できない制度となっています。そのため、これらの世代の方は、何かしらの方法で空白の5年間の収入を確保する必要があります。
その方法の1つとして確定拠出年金があります。確定拠出年金とは、老後の資金確保を目的としており、自己責任のもとで拠出したお金を運用(投資)し、将来の年金を形成する仕組みのことをいいます。
関連記事 【確定拠出年金の攻略マニュアル】 始め方から利益を出す鉄則まで
確定拠出年金の最大の魅力は、老後の資金を貯めながら節税することができるところにあり、職業によって加入できる条件や金額が異なるものの大きな節税効果が期待できます。
平成29年1月からは、公務員や専業主婦といった従来、確定拠出年金に加入することができなかった人も加入対象となるため、さらに老後資金を確保するための選択肢が広がることになりました。
なお、確定拠出年金の受け取り期間は、加入期間によって異なるルールがあるものの、10年以上確定拠出年金に加入している場合は60歳から「一括」や「分割」でお金を受け取ることができます。
つまり、60歳で定年退職した後は、確定拠出年金で受け取るお金を生活資金として使うことができるため、退職金を費やす必要が無くなることになります。
5.個人年金保険への加入
民間の生命保険会社が取り扱っている個人年金保険も、前述した確定拠出年金と同様、老後の生活資金を貯める役割を果たす金融商品です。
確定拠出年金と異なり、個人年金保険に加入するためのハードルは極めて低いため、比較的誰でも加入することができるメリットがあります。
契約によって違いがあるものの、こちらも60歳から保険金を受け取ることができるため、65歳までの空白の5年間の生活資金を補填できる効果があるほか、個人年金保険に1年間で支払った保険料につきましても節税効果が認められます。
特に国税庁では、個人年金保険だけに認めている「生命保険料控除個人年金用」というものがありますので、加入後は申請を忘れないようご注意ください。
定年退職年齢が65歳の場合は
定年退職年齢が65歳の場合は、退職後すぐに公的年金が支給されることになります。
この場合も年金の受給額や退職金を含め、老後の生活資金が十分かどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。
年代によって違いはあるものの、前述した確定拠出年金や個人年金保険など、老後の生活資金について自助努力をしておく必要性があることは間違いないといえるでしょう。
まとめ
本記事では、60歳定年退職後、年金支給開始までのいわゆる空白の5年間の対応策についてご紹介しました。
この空白の5年間の老後生活はもちろんのこと、年金受給開始後の生活についても「自助努力」で備えなければならない時代がすでに始まっています。本記事で紹介した対策法を検討し、ぜひご自身に最も適した方法を探してみてください。
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