オリックス生命の営業職員チャネル開設は一長一短?
オリックス生命といえば、「シンプルで分かりやすいこと」「合理的な保障を低価格で提供すること」をコンセプトに開発された医療保険の「CURE(キュア)シリーズ」が大人気ですね。
2013年9月に発売された「医療保険 新CURE」および「医療保険 新CURE・レディ」は、2015年3月末に、発売わずか1年7ヶ月で新規契約件数50万件を突破しました。
シンプルで分かりやすい保険なので、通信販売でも補償内容をしっかり理解して加入できることが契約件数の増加につながったのでしょう。
さて、このオリックス生命が、現在の販売チャネル(通信販売・保険代理店・金融機関窓口)に加えて、営業職員チャネルも新設するとのことです。
今回はこのことについて、コメントさせていただきます。
よりきめ細やかなサービスを期待できるも…
営業職員チャネルを導入することにより、大手生保同様のきめ細やかなサービスが期待できます。
代理店や金融機関へ出向く手間もなく、自宅等でより詳細な商品説明等を聞くことができ、納得して保険に加入することができます。契約者一人一人に担当がつくことで、契約時だけでなくアフターフォローも充実するでしょう。
ただ、その営業職員による訪問が不要の方もいるのではないかと思います。
通販で加入した場合でも担当者がつき、自宅に訪問して来るとのことですが、通販での加入者の中には、忙しい等の理由で営業職員との関わりに抵抗があるから、あえて通販で加入した人もいるでしょう。
実際に私自身も、母が営業職員をしていた生命保険に加入していました。母が担当のうちは良かったのですが、転居等で担当者が変わると、定期的な訪問や電話がわずらわしくなって、結局は解約してしまいました。
営業職員チャネルで加入した方はともかく、通信販売チャネルで加入した方にとって、営業職員の訪問は必ずしもプラスになる訳じゃないでしょう。
営業職員を採用するコストはどこに?
大手生保との差別化の営業職員を固定給で採用するとのこと。20代後半から30代前半の標準モデルの年収が約500万円。色々条件等はあると思いますが、なかなか高待遇だと思います(年収以上に、仕事がきついかもしれませんが)。
新たに営業職員を採用するということは、当然に新たなコストがかかります。5年で1000人採用ということで、人件費だけでも結構な金額になりますね。
コストが増えると、保険料にも影響するのではないかと考えます。契約者が支払う保険料は、実際のリスクに対する保険料(純保険料)に加え、人件費やパンフレット代等のコストに対する保険料(付加保険料)で構成されています。コストが増えると、保険料も上がると予想するのが自然でしょう。
低価格も魅力の1つのオリックス生命ですが、増えたコストをどう保険料に反映させるのか、仮に保険料を上げる場合、更なるサービス等を充実させるのか、注目したいです。
大手生保の営業職員は待遇改善の可能性も
大手生保の営業職員は、ほとんどの場合が歩合給です。個人事業主として扱われることも多く、仕事をしていく上でのコストもかなりかかります(保険会社によりますが、交通費や携帯電話代は事故負担です)。
一部のやり手営業職員であれば、たとえコストがかかっても契約を取れた分だけ稼げる歩合給の方がいいでしょうが、そのような人はごく一部でしょう。
実際、母が営業職員だった時も、稼げずに辞めていく人が多かったようです。オリックス生命もこうした事情があるから、離職率を抑えるために固定給にしました。
トップクラスの一部を除いては、「固定給の営業職員」という仕事はとても魅力的ですね(私だったら、絶対固定給が良いです)。
もしかしたら大手で営業職員として勤めていた方が、オリックス生命に流れることもありえるでしょう。大手生保がオリックス生命を追随してすぐに固定給制を採用する可能性は低いでしょうが、何らかの対策の動きは今後出てくるかもしれませんね。
(以下は産経新聞からの抜粋記事です)
オリックス生命が営業職員経由販売
オリックス生命保険の片岡一則社長は25日までにフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、大手生保が主力とする営業職員経由の保険販売に10月から乗り出すことを明らかにした。
これまで保険代理店やテレビやインターネット通販が中心だったが、大手生保が販売形態の多様化でこうした分野への参入を活発化させており、大手が得意な営業職員チャネルを新たに設けて対抗する。
大手との差別化を図るため、営業職員の給与は、歩合給ではなく固定給とする。
片岡社長は「育成を重視することで離職率を抑える」と狙いを説明する。
年収は20代後半から30代前半の標準モデルで約500万円を計画。テレビ、インターネット経由の契約者に対しても担当として自宅などに出向く。
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