アパート・マンションの退去前に知っておきたい3つのこと
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最終更新日:2017/03/11
日常生活の節約
春先や年末になりますと引っ越しや住宅購入などで、アパートやマンションを退去することがあると思います。
退去するまでの居住期間が長ければ長いほど、壁紙が自然にはがれたり、畳が変色したり、色あせたりなど中の居住スペース全体が自然に損傷している場合が十分あり得ますが、このように誤って汚したものでもないものについて、退去前は自腹で修繕しなければならないものなのでしょうか。
賃貸トラブル防止と自分を守るための基礎知識として、今回はアパートやマンションの退去前に知っておくべきポイントを3つ解説していきたいと思います。
まずは事例からイメージを膨らませてみましょう
【サイトに寄せられたお悩み】
このたび、住宅購入にあたり今まで借りていたアパートを明け渡すことになりました。
約5年という長い間住み続けたアパートは自然に劣化している部分も多く見受けられますが、賃貸契約をした当時に支払った保証金50万円の返還を家主に求めたところ、補修費や原状回復費用がかかるといった理由から少額しか返してもらえませんでした。
故意に壊したものは、ほとんどないのにもかかわらず修繕費用を多く負担するのは納得できません。
このような悩みやトラブルでアパートやマンションを明け渡した人もきっと多いと思います。
特に築年数が古いアパートや借家は、事例のように自然と劣化が進み、故意や過失によって損傷しているように見受けられることもしばしばあると考えます。とはいえ、故意に壊したものではないからこそ、お金を支払うのに納得できない気持ちはよくわかります。
このような事例において法律ではどのような取り扱いになっているのか確認してみましょう。
その1.原状回復義務を知る
「人から借りた物は必ず返す」「人から借りた物を壊してしまったら弁償する」といったあたり前のことを理解している人であれば納得できると考えますが、仮に借りていたアパートやマンションの壁に誤って傷をつけたり、壊してしまったりなどの場合は当然に弁償しなければなりません。
この費用は、事例のような保証金や敷金といった名目で契約当初に支払ったお金から支払われる(充てられる)のが一般的で、退去する前の原状回復費用に充てられる目的があるお金になります。ただし今回の事例のように、自然と汚れたり損傷した物に対する修繕費用は、原則としてアパートやマンションを借りていた人が支払う必要はありません。
ここだけ見ると借りていた人は、ほっと胸をなでおろす気持ちになると思いますが、これには契約書に盛り込まれている特約による例外のある場合があります。
その2.自然損耗部分の補修費負担特約があるか確認しましょう
自然損耗部分の補修費負担特約とは、今回の事例のような長年の経年劣化による補修費(原状回復費用)をアパートやマンションを借りていた人が支払うといった契約のことをいいます。この特約が契約書に付いていた場合には、本来費用負担しなくてよい借主が修繕費用を負担しなければならないことになります。
このようなトラブルは全国的にみても多く、最高裁を含め、東京、大阪、京都など各地で裁判として争われている判例もあります。
また、裁判の判例では自然損耗部分の補修費負担特約そのものを認めない判例などもあり、一概にこの特約があるから自己負担しなければならないといったことは無くなってきた模様です。
したがって、アパートやマンションを退去する前には事前に契約書を再度確認し、貸主と円滑な話し合いをするのが最も得策だと考えられます。話し合いの結果、どうしても納得ができないようなことがあった場合には、トラブル防止のために弁護士へ相談してみるなどの対策をおすすめします。市区町村では無料の弁護士相談なども利用できますのでそちらを利用してみるのが良いでしょう。
その3.原状回復期間中の家賃負担はやむを得ない
最後に原状回復期間中の家賃負担について解説します。
アパートやマンションを借りている人が退去する際に、原状回復が完了するまでの期間は他の人に賃貸することができなくなります。このような場合における家賃については、アパートやマンションを貸している人が借りていた人に対して請求することができることになっています。
この家賃は通常、保証金や敷金といったものから差し引かれて清算されるのが一般的なため、すべての保証金や敷金が戻ってくることはないと思った方が気持ち的には楽なのかもしれません。
まとめ
今回はアパート・マンションの退去前に知っておきたい3つのことを解説しました。
① 原状回復義務を知る
② 自然損耗部分の補修費負担特約があるか確認
③ 原状回復期間中の家賃負担はやむを得ない
不動産の賃貸解除は非合理的な金銭支出が絡むだけでなく、当時の契約によってそれぞれ異なる特徴があるからこそ、裁判やトラブルが多くなると考えられます。
上記3つの事項を確認しつつ、貸主、借主双方が円滑に契約解除できることが最も望ましいのはいうまでもありません。
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